「6才のボクが、大人になるまで」 ☆5
誰も指図しない世界にいたら
何が違うの?どう変わる?
すべてさ
好きなことができたら
人生は最高だ
”普通”を演じなくて済むから
今回は、「6才のボクが、大人になるまで」を紹介します。
監督は、リチャード・リンクレイター。
主演は、6才の少年から18才になるまでメイソンを演じた、エラー・コルトレーン。
彼の母親オリヴィアを、パトリシア・アークエット。
彼の父親をイーサン・ホーク。
あらすじ・構成
6才の少年が18才になるまでを12年間同じキャストで演じた映画です。
主人公の少年メイソンが両親の離婚や再婚、自身も進路や恋愛などの悩みを抱えて生きていく姿を描きます。
感想
あーーーーー。
しょうもねえ。
前から観たくて、でもずっと残してたんですよね。
もう面白いの分かるじゃん。だからまだいいかまだいいかって伸ばしてました。
さっきふと観ようと思い、余裕を持って観ていたら、だんだん怪しくなっていきました。
冒頭はすごい良かったです。軽快な音楽と子供の元気な姿が映って。これからこの子の12年が始まるんだなと。わくわくしました。
小さい頃は面白かったですよ。普通の人生ではないと思うけど、そういう辛さあるよねって感じました。子供時代の抑圧された不満がよく伝わってきました。オリヴィアはアル中の親父ビルと結婚するのですが、こいつのとこで殺意が湧きました。まさかこの映画を観て殺意が湧くとは思いませんでした。もっとのんびりした感動ものだと思ってたからです。
このアル中親父にはミンディとランディという子がいます。生活が落ち着き始めた頃、ビルの暴走が始まります。携帯チェックやら暴力やらひどいんですよね。そこでオリヴィアは逃げ出します。連れて行けるのは自分の子供たちメイソン、サマンサだけなんです。ミンディ、ランディは逃げ出せないんです。つらい別れがくるんですね。
ここで思ったのは、絶対あとで出てくるってこと。
この分岐点は必ず集合すると、確信するわけです。はいはい分かってますよと。
しかし一切出てこない。おいおいおいふざけんなよ。なんで出さないんだ。
じゃあこの後はどういう展開だったかというと、女性の話ばっか。
写真に興味を持っても、別に深掘りするわけでもないし、ずっと女性の話、誰と付き合っただ別れただ、くだらねええ。
本当にしょうもない。彼女と別れて、大学進んだら良い人と出会えましたって結末ですよ。
これ12年間同じキャストで撮り続けた意味ありますか。
6才から18まで、青春ですよ、恋愛もあるでしょう。
でも良さが活かされてません。時間が飛ぶので1つを深掘りできないから厚みがない。良いポイントだったビルたちとも関わりがありませんし、本当になんでって感じ。せっかくいい特徴があるのに。
散々書きましたが、良いところもありますよ。
最初の引っ越しの時、車で町を出ていくところ、メイソンの友達が自転車で追いかけながら手を振ってるんです、メイソンをそれを見つけるんですが、振り返さないんですね。こういう微妙な空気感。言葉や行動に出さない思いは良く描けているなあと感じました。
今回は、「6才のボクが、大人になるまで」を紹介しました。
人気の作品なんですけど、私には合いませんでした。闇の青春時代を送ったので心が腐っているんでしょうか。
今年観た映画をまとめています。
「ワン・デイ 23年のラブストーリー」 ☆7
行きたいけど
仕事のあとは帰って食べて泣きたいの
できるさ
わしは10年やってきた
今回は、「ワン・デイ 23年のラブストーリー」を紹介します。
監督は、ロネ・シェルフィグ。
主演は、アン・ハサウェイ。
エマ・モーリーを演じました。
「レイチェルの結婚」「レ・ミゼラブル」「マクマホン・ファイル」「マイ・インターン」「ゲット スマート」
エマの恋人、デクスターを演じたのは、ジム・スタージェス。
デクスターの母アリソン役、パトリシア・クラーソン。
「エデンより彼方に」「エイプリルの七面鳥」「メイズ・ランナー」
シルヴィー役、ロモーラ・ガライ。
イアン役、レイフ・スポール。
「ジュラシック・ワールド/炎の王国」「ザ・リチュアル いけにえの儀式」「僕と世界の方程式」
あらすじ
大学の卒業式、出会ったエマとデクスター。性格的に対照的な2人は惹かれ合うも恋人関係には行かず、友人として関係を構築していく。近づいて離れてを繰り返し、それぞれの人生を生きていく2人だが、時が経つにつれてお互いの思いを隠せなくなる。
構成
物語がA→Eまでの区切りで構成されているとすると、この映画の進行は
D→A→B→C→D→E→A’になります。
現在の様子を少し出して、過去編突入。現在に戻ってきたら、そこから続きが始まる。
1988年の7月15日から一年ごとに進みます。Dの現在地点は、2006年です。
Eが2011年だったかな。だから23年なんですよね。
A’はAの続き、Eの中で出てくる回想ですね、あの日なにしてたって感じ。
感想
鑑賞後に残る感覚は好きでした。
学生の頃思い描いていた人生とは違った、それが良かったのかは分からないけれども自分なりに頑張って生きてきた、そういう儚さのある映画でした。
しかしですね
このアン・ハサウェイ演じるエマの恋人デクスター。こいつが好きになれない。
ずーーーーーーーっとチャラい。それを直したのがエマだってセリフもあるんですけど、そんないきなり変わるわけないでしょう。
まあいいとして。私はアン・ハサウェイは好きで、この男は嫌いなので、アン・ハサウェイだけに注目して、アン・ハサウェイ演じるエマの人生だけを思いながら観るようにしたら良い気持ちで観ることができました。
今回は、「ワン・デイ 23年のラブストーリー」を紹介しました。
今年観た映画をまとめています。
「モリーズ・ゲーム」 ☆10
お前への愛を見つめ直すことは
宇宙の大きさを想像するのに等しい
いいこともあったか?
特にない
でも心強いことを学んだ
私は しぶとい
チャーチルは言った
”成功とは 失敗から失敗へ情熱を失わずに進むこと”
私は もう後には引けない
今回は、「モリーズ・ゲーム」を紹介します。
監督は、アーロン・ソーキン。
初監督作品です。
主演は、ジェシカ・チャステイン。
モリー・ブルームを演じました。
厳しい父の元、スキー選手として育てられ、オリンピックまであと少しというところ、事故で引退。クラブで知り合った男とポーカーゲームの運営を行い、大金を得る。
「インター・ステラー」「オデッセイ」「ゼロ・ダーク・サーティ」「女神の見えざる手」
彼女の父親役を、ケビン・コスナー。
「ダンス・ウィズ・ウルブス」
彼女の弁護士チャーリー役を、イドリス・エルバ。
「マイティ・ソー」「アベンジャーズ」「マンデラ 自由への長い道」
あらすじ
ポーカー運営で大金を手にしたモリーは、FBIに捕まり、弁護士であるチャーリーに弁護を依頼する。チャーリーは彼女が出版した本、彼女の話から真実に近づいていく。
感想
久しぶりの☆10。
最高の作品に出会えました。
今年のランキングに入ってくるでしょうね。
過去(幼少期からポーカー運営時代)と現在(主にチャーリーとの会話)を交互に展開していく、時間が進むにつれて事実が明らかになってくる構成です。
こういう構成の映画は、最初の情報が少ないので面倒になってすぐやめてしまうのですが、「モリーズ・ゲーム」はそんなことを気にせずに観ることができました。
検事に対するチャーリーの言葉や、チャーリーのモリーへの提案シーンなど、良いシーンは多くあるのですが、一番良かったのはスケートリンク近くにベンチでのモリーと父親の会話です。
父親は心理学者です。彼は娘のモリーに無料でセラピーをするといいます。3年分を3分で。方法は、患者何より求めるもの。輝かしい経歴を持つ22歳の女性が、なぜポーカー運営の道へ行ったか。なぜ大金を求めたのか。他にも原因はあるけれど、父親は自分のせいだと言います。モリーの過去が描かれますが、厳しい父親なんですよね。これまでの関係がこのシーンでガラッと変わる。向き合って仲直りですよね。モリーがマフィアに殴られたことをメディアを通して知ったこと(モリーの本だったけ)、相手が憎いと言ったこと、モリーが父親の車を勝手に使ってマクドナルドに突っ込んだ話、このシーンが一番でした。
チャーリーには娘がいるのですが、モリーがチャーリーに検事への言葉のお礼を言った時、娘に言われたと返すシーンも良かったですね。娘がモリーの本を読んで必死に擁護してきたと。
いろんな要素はあるんですが、生き方の話です。それを主に親子というフィルターを通して伝えてきます。
本当に良い映画でした。
2時間半ないくらいかな、少し長いんですが、気になりません。
後半の盛り上がりが格別でした。じわじわきます。
今回は、「モリーズ・ゲーム」を紹介しました。
今年観た映画をまとめています。
「星の旅人たち」 ☆9
人は人生を選べない
生きるだけ
宗教と人の信心深さは
何の関係もない
今回は、「星の旅人たち」を紹介します。
監督は、エミリオ・エステベス。
主人公の息子役、ダニエル・エイヴリーも演じました。
主演は、マーティン・シーン。
監督のエミリオ・エステベスは彼の実の息子です。作中でもダニエルの父親、眼科医のトーマス・エイヴリーを演じます。
眼科医のアシスタントのドリーを演じたのは、マーティン・シーンの実の娘、監督のエミリオの実の妹である、レネー・エステベス 。
ややこしいですが、
マーティン・シーン(父)、エミリオ・エステベス(息子)、レネー・エステベス(娘)が出演し、それぞれ
トーマス・エイヴリー(父役、眼科医)、ダニエル・エイヴリー(息子役、監督)、ドリー(眼科医のアシスタント)を演じました。
トーマスの仲間として
サラ(デボラ・カーラ・アンガー)
ヨスト(ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン)「ドラゴン・タトゥーの女」
ジャック(ジェームズ・ネスビット)「ホビット」
あらすじ
トーマスは仲間たちとゴルフを楽しむ中、電話を受ける。息子ダニエルの死を知らされたトーマスは、遺体を引き取るべくフランスへ向かう。ダニエルは、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を行く途中、嵐に巻き込まれたという。トーマスは遺灰と息子のバックパックを手に取り、”2人”で巡礼路を行くことを決める。
感想
この旅がしたい。
最近こういう系の映画を観てますが、やっぱしたいんですよね旅。
日々退屈でね、このまま死ぬのかと思うと。
トーマスが道を行くと仲間ができます。
各々様々な思いを抱えた仲間4人と、最初は衝突しますが、旅が進むにつれて仲良くなるんです。自分の問題が、仲間といることで少しずつほぐれていくんです。ぶつかって柔らかくなる様子がわかります。
仲間のキャラも立っていました。ジャック登場時は過剰だなと思いましたが、少しすれば馴染みました。
トーマス親子が、映画なのにやけに似ているなと思ったんですが、本当の親子だったとは驚きました。娘も出ているとは。
あとは、歌が少し出てきます。最後の歌(多分最後)が印象に残ってます、場面と合っていてとても良かったです。
今回は、「星の旅人たち」を紹介しました。
今年観た映画をまとめています。
「ロング・トレイル!」 ☆7
正直 俺は酒が好きだ
酒であれば何でも
味が好きなんだ
酔った気分が何とも言えん
酒場の便所の防臭剤まで愛おしい
だが 酒場通いをやめてからは 家へ戻り夕食を温めて食う生活だ
だが 毎晩心では悩んでる
これが刺激的で意味深い人生なのかと
器械で幸福度を測れば 針が振り切らないのは確実だろう
分かるか?
つまり 酒で埋めてた穴がポッカリ空いたままなんだ
飲んだら終わりさ
1杯がいつしか10杯になり
どこかの橋の下で目を覚ますことになる
監督は、ケン・クワピス。
「そんな彼なら捨てちゃえば?」
主演は、ロバート・レッドフォード。老人のビル・ブライソンを演じました。
「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」「オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜」
彼の妻として、エマ・トンプソン。
「ウォルト・ディズニーの約束」「新しい人生のはじめかた」「ハリー・ポッター」
ビルと共にロングトレイルに挑むスティーブン・カッツを演じたのは、ニック・ノルティ。
あらすじ
退屈な日々を送るビルは、アパラチアン・トレイルという長距離自然道に挑戦したいと思い、準備を始める、妻から1人で行くのは認めないと言われ、相棒を探すことに。片っ端から声をかけるも振られ、落ち込んだ先、40年前に喧嘩別れしたカッツから連絡がくる。
感想
自然の中を旧友と歩く。それだけでいいですね。
思っていたよりもコメディよりな作品でした。
もう仕事も半ば引退し、死が近づき、自分の人生を振り返ってこれでいいのかと問う。ノーであれば、まだ時間が残っている、何かに挑戦しよう。周りは無理だと言うがそうじゃない、これは挑戦なんだ、と所々のシーンで感じさせてくれる映画でした。
景色も良かった。本当に、行きたくなります。
景色のいいところは自分も実際に観たいと思わせてくれるところです。つらい道をきて、ひらけた場所に出る、顔をあげると緑の大地。風も気持ちがいいでしょう。どんな匂いがするだろう。
川もいい。岩と水は綺麗な組み合わせ。水の音を聴きながら岩の上で寝ていたい。
日差しがあるといいですね、暖かい上に、水が光る。日差しの良さは、自然のものが反射して光って見えるところにある。昔を思い出すんでしょうか。
そんなことを思った映画でした。個人的にはもっと静かな、コメディ要素の少ない方が好みでしたが、十分楽しめました。私も今後の計画を練ろうと思います。
今回は、「ロング・トレイル!」を紹介しました。
今年観た映画をまとめています。
「マシニスト」 ☆6
今回は、「マシニスト」を紹介します。
監督は、ブラッド・アンダーソン。
主演は、クリスチャン・ベール。
CGなのかなとも思ったんですが、本当に減量したようですね。
「フォードvsフェラーリ」「マネー・ショート 華麗なる大逆転」「ダークナイト」「プレステージ」「アメリカン・サイコ」
彼が親しくしている娼婦のスティービーを、ジェニファー・ジェイソン・リー。
彼が通っている空港のカフェの店マリアを、アイタナ・サンチェス=ギヨン。
あらすじ
不眠症のトレバーは仕事の休憩中、アイバンという男と知り合う。後日、仕事中にアイバンを見つけたトレバーは、彼に気を取られて同僚に怪我を負わせてしまう。後日アイバンという男は職場にはいないと知ったトレバーは、彼が何者なのか探り始める。
感想
なんとなく観始めたんですが、なかなか面白かったです。
ただ、前情報無しで観始めたので、この映画はどこに向かっているのか、何を見せられているんだろうと感じることはありました。最終的には明らかになるのでいいんですが、観続ける理由が薄いと思いました。全体的には面白いという感想ですが、途中で止めてもまた観たいとは思わないですね。仕掛けありです。
今回は、「マシニスト」を紹介しました。
今年観た映画をまとめています。
「MERU/メルー」 ☆7
今回は、「MERU/メルー」を紹介します。
ヒマラヤ山脈にあるメルー峰の”シャークス・フィン”ルートからの登頂を目指すドキュメンタリー映画です。
監督は、登頂を達成したジミー・チンと、エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ夫婦。
2008年と2011年の挑戦の映像を編集したものです。
感想
あらすじも何もないので感想から。
「The Dawn Wall」も物凄いものを観せてくれましたが、今回の「MERU/メルー」も凄かった。
登頂は成功します。感動的で大興奮でしたが、一番感じたのは、成功している人(生き残っている人)はきっと僅かなんだろうな、この成功の影で何人死んでるんだろうというものでした。それくらい命がけの冒険を観せてくれました。
2008年に惜しくも撤退、色々あって2011年にリベンジすることになるのですが、この間に事故があって、チームの1人が重体に陥るのですが、メルー登頂への執念で回復、登頂を果たすんですよね。ドキュメンタリーなので事実です。だから編集による変な盛り上げ方はしないんですよね。だからリアルです。成功も失敗も。
生きてるって実感できるんだろうな。
今回は、「MERU/メルー」を紹介しました。