「わたしは、ダニエル・ブレイク」 ☆9
私は依頼人でも、顧客でもユーザーでもない。
怠け者でも、たかり屋でも、物乞いでも泥棒でもない。
国民保険番号でもなく、エラー音でもない。
きちんと税金を払ってきた、それを誇りに思っている。
地位の高い者には媚びないが、隣人には手を貸す。
施しは要らない。
私はダニエル・ブレイク。
人間だ。犬ではない。当たり前の権利を要求する。
敬意ある態度というものを。
私はダニエル・ブレイク。1人の市民だ。
それ以上でも以下でもない。
今回は「わたしは、ダニエル・ブレイク」を紹介します。
監督は、ケン・ローチ。
「麦の穂をゆらす風」「家族を想うとき」の監督です。
主演のダニエル・ブレイクを演じたのは、デイヴ・ジョーンズ。
パルム・ドールというカンヌ国際映画祭における最高賞を2016年に受賞した作品です。
先日紹介した「パラサイト 半地下の家族」は2019年の受賞でしたね。
余談ですが、先ほど同じくパルム・ドールを2017年に受賞した「ザ・スクエア 思いやりの聖域」を観ました。2時間半と長い映画で、カメラワークが面白く、込められたメッセージも良いものだったのですが、私には合わず、退屈な映画に感じました。
話を戻して
あらすじ
心臓を悪くしたダニエル・ブレイクは大工歴40年の大ベテラン。働けなくなり、国の支援を必要とするも受給できず、役所へ相談に行くも冷たい対応。ある日役所の不寛容に異を唱えた子連れの女性が追い出されそうになっている。彼は彼女を庇うも一緒に追い出されてしまう。その後ダニエルは彼女ケイティとその子どもたちと打ち解け始める。
感想
この映画の良いところは他者に払う敬意の大切さを感じさせてくれるところです。いつ自分が仕事を失うか、病気になるかわからない。いつ自分が国の支援を必要とする側にまわるか分からない。今目の前にいる相手はもしかしたらの私だ。だから敬意を払うべきだ、何かが違って立場が逆転していたかもしれない。たまたま自分には仕事がある。病気もない。食べていける。じゃあそれが偉いか、人を見下していいか。そうはならない。そんなことを改めて思わせてくれる映画でした。
今回は「わたしは、ダニエル・ブレイク」を紹介しました。